〜永遠の刹那〜

July 2nd, 2000

★ ★ ★







 いま、
 生きているという意味を、
 思い出したかもしれない。
 ただ、
 わずかなものを得ただけだと思っていたのに、
 こんなにも君という存在が大きくなってしまっただけで。
 それは、
 本当にほんの少しだけのこと。
 小さなこと。
 それなのにどうして、
 こんなに涙があふれてくるのだろう。
 短い、
 本当に短い、
 たったひとつの言葉だけで。
 どうしてこんなにも心があつくなるのだろう。
 あぁ、
 探していたものは、
 もしかしたらここにあったのかもしれない。
 今まで手探りで探していたものは、
 気付かなかっただけで、
 きっとこんなに近くにあったんだ。





 それでもいつか、
 君を失ってしまう日が来るのだろう。
 どんなに永遠を希(こいねが)っても、
 渇望しても、
 手を伸ばしても、
 泣き叫んでも、
 きっとその日は来てしまう。
 すべてのものは滅んでしまう宿命にあるから。
 たとえこの気持ちが永遠に続くものだとしても、
 それを途絶えさせる力がこの世にはある。
 だって、心を抱くものが絶えてしまえば、
 心は残らない。
 残ったとしても、
 それは幻でしかない。
 抜け殻でしかない。
 そんなふうになってしまうよりは、
 たぶんぼくは素直に滅びることを選ぶだろう。
 だからせめて、
 それまでの長い一瞬一瞬を、
 精一杯愛したい。
 それすらが幻であったとしても……。





 ねえ、
 その時が来ても、
 ぼくはちゃんと笑っていられるだろうか。
 君を失って、
 ちゃんと息をすることができるのだろうか。
 それとも、
 何もかもを忘れて、
 何もなかったように生きていくのだろうか。





 ねえ。
 ぼくは、
 その両方が怖い。
 どちらもが同じように怖い。
 君とぼくが、
 それこそ永遠にその絆を断つとき……。
 世界はいったいどうなるのだろう。
 ぼくはどうなってしまうだろう。





 そんなことを思うと、
 ぼくは、
 いっそのこと、
 ここで君を殺してしまえたら。
 そんなことを、
 思うんだよ。





 そうしたら、
 そんな日は永久に来ないだろうか。
 それとも、
 その瞬間に来てしまうのだろうか。





 ねえ。
 ぼくは。
 それを確かめても、
 いいだろうか。





End




<After Words>
ある意味、高原風音本領発揮…? 怖いよね。いえ、自分が、です。
これは、わりと色んな人に応用できるのではないでしょーか。とても大切な人を見つけた、
一人称が「ぼく」の人であれば。けど、実際試してみたりはしないでくださいね(誰がするか)。
でも、どう思います? 永遠の別れっていうのは、いつ訪れるんでしょうね。
この話(?)は応用できるかも。



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