見知らぬ景色

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鮮やかな緑の草原を 覚えてる
その上を吹く風を
なびく細い葉を
波打つ その遥かな景色を
僕はずっと 覚えてる


そこに
いつも誰かがいた
白いワンピース
白い帽子
振り向いた逆光の笑顔
それだけを 覚えてる
でも
それが誰だったのか
なんにも 覚えていない


風が吹いて
強く吹いて
白い帽子が高く飛んだ
見上げた空の 青い 青い 色
真っ白の帽子
雲のように溶けていった


あれは
一体誰?


考えるたびに白く靄の中にかすむ景色
その向こうにはいけない景色
僕はそこに立ち止まったまま
その景色をずっと見てる
知らないのか
忘れたのか
どっちともつかない
幻の景色


僕はずっと眺めてる
まっすぐにそれだけを眺めてる







<Comment>
ずいぶん久し振りに書いたポエトリー。
しばらく書けなかったので…。
というか、書いたら全て「悲しい」という言葉で
埋めつくされてしまいそうで。
でもやっぱりどこか言葉の裏側に、
その言葉を隠しているような色合いが…。