2000年12月23日
in 五島プラネタリウム

ザバネタリウム

20世紀の最後に贈る地球(ほし)のうた(ザバネタリウムファイナル)


 1.POLAND
 2.小さな宇宙
 3.Psi-trailing
 4.光の庭で
 5.星の約束
 6.harvest rain(豊穣の雨)
 7.夏至南風(カーチバイ)



 うにゃ……。
 とうとうこの日が来てしまいましたか…ザバネタリウムファイナル。
 2001年3月11日に閉館してしまう五島プラネタリウムにおける、「星と音楽の夕べ」ザバダック特集の最終回だったわけです。
 ザバネタリウムが始まる前から、それこそ物心つく頃から通い続けた五島プラネタリウム……。
 なくなっちゃうんだなあ……。
 というわけで、5時ごろ渋谷に到着。
 普段だったら、この時間でも2番目くらいに並べるんですけど、さすが最終回。
 行った時点ですでに階段1階半並んでおりました。
 「早い時間からの集客」という意味では、今回がいちばんすごかったかも。

  1. POLAND
               FROM 『Welcome to Zabacak』

 日が沈むときの曲といったら、これ。
 もう決まってるんですね、「もう誰にも変えることは出来ません」と解説員の村松さんが仰ってました。
 でも…確かにそうなんですよね。
 POLANDがかかると、何かが始まる感じがする。
 神秘の国「ZABADAK」の扉が開く…そんな感じが。

  2. 小さな宇宙
               FROM 『私は羊』

 目の前には、満天の星。
 どこまでも広く、吸い込まれていきそうな、星空。
 でも宇宙は、目の前にあるだけじゃない。
 ふと横に目を向けてみて…隣にいる人、その人が、その小さな人が、大きな宇宙を内包してる。
 宇宙は本当はみんなの中にあるんだな……。
 星の下でこの曲を聴いてると…ほんと…泣けてきて泣けてきて……。

  3. Psi-trailing
               FROM 『桜』

 真っ青な夜のイメージを持つこの曲と、邪魔な灯りもない星空。
 なんだか、悩んで、悩みきっても見つからなかった自分の心が、素直に見えてくるようで。
 いつか、ザバネタで聴きたかった曲なんです!
 涼しい、寒いくらいの風と澄み切った星空と、このPsi-trailing。
 いや……暑かったですけどね、室内(笑)。

  4. 光の庭で
               FROM 『LiFE』

 そう! そうなのよ!
 この世界が、今自分が生きていると思う場所、そこが「光の庭」なんですよ!!
 星の光…確かにプラネタリウムの星は、人の手が作り出した人工の光です。
 でも、それを通じて、確かにわたしたちの目は、天井の向こうの本当の星の光を見てるんです。
 本当の空の、遠い星に思いを馳せてるから。
 目だけじゃなくて、心でも見ているから。

  5. 星の約束
               FROM 『音』

 その時にちょうど頭上高く、蟹座が昇っておりました。
 蟹座といえば、そう。
 我らが小惑星zabadakが最初に発見された場所でございます。
 いわばzabadakが、「生まれた場所」。
 村松さんは、自分が星を好きだったこと、そしてZabadakの音楽に巡り逢ったこと、それが星と音をつなぎ合わせてザバネタリウムというイベントが作られたこと、その縁で宇宙の中にZabadakの名が永遠に刻まれるにいたったこと……。
 そんなことを、「人の運命」という言葉を借りて語られていました。
 運命…そうだなあ。
 風音がZabadakと出会ったのも…運命、だったんでしょうね。
 ただそれは、風音の大好きなお友達がくれた運命。
 運命って、神様だとかが決めるんじゃないですよね。
 人と人のつながりが、決めていくんじゃないのかなぁ。
 わからないですけど。
 でも、縁ってものはあるし…人と人との出会いって、やっぱりずっと前からの「約束」なのかな。

  6. harvest rain(豊穣の雨)
               FROM 『遠い音楽』

 ここでの村松さんのお話は、とても印象的でした。
 「ここ(五島プラネタリウム)は終わってしまいますが……私たち(解説員)は、星の説明を通して、命の大切さなどを考える気持ち…そんな『種』を蒔いてきました。それがやがて芽吹いてくれればいいと思います。そして、その『種』を、ほかの人たちに蒔いていくのは、今度はあなたたちの番です」(要約)
 そうか…このあったかい気持ちは、自分だけの力で得たものじゃない。
 誰かのあったかい気持ちに包まれて、初めて芽生えてきたものなんだ……。
 それが親であったり友達であったり先輩であったり音楽であったりお話であったり詩であったり……。
 様々な形があるし、一つだけでもないけれど。
 でも、そうやって、あったかい気持ちはずうっと伝わって、絶えずに続いていくものなんだ。
 『種』を蒔く、っていうのは、そういうことだったんだなぁ。
 その話を聞いている間、涙が止まりませんでした。
 いい世界に、生まれてきたんだなあ、と思って。
 …そして、Zabadakの吉良知彦さんからの、メッセージの中に。
    “終わりは、なにものかの始まり”
 五島プラネタリウムは終わります。
 ザバネタリウムも終わります。
 だけど、終わってくだけじゃないんですね。
 何かが始まっていくことなんですね。
 それを待っているんじゃなくて。
 始めていくのは、わたしたちなんですね。
 とても大切な……とても優しいものを、得たように思いました。

  7. 夏至南風(カーチバイ)
               FROM 『COLORS』

 25日はクリスマス…今でこそキリストのお祭りですが、この日というのは、もともと旧暦の冬至だったそうです。
 冬至は、1年で最も太陽の出ている時間が少ない日。
 けれど、それを過ぎれば、どんどん太陽のいる時間は多くなっていきます。
 そんな春に向けてのお祭り、それがクリスマスの原点なのだとか。
 その反対の日が、夏至。
 沖縄では、夏至の日…南から吹いてくる風に乗り、旅に出ていっていたそうです。
 つまり、「旅立ち」。
 この人工の星空のもとから、本当の空への……。
 誰もが見ていたはずの、心のふるさとへ。
 思いの原点へ。
 そして、まだ見ぬ未来への。
 回帰と、旅立ちなんだと思います。
 終わってしまうことは、すべてが消えてしまうことじゃない。
 何かが必ず残っている。
 それを大切にしていきたいと……そう思います。

 21世紀、新しい時代。
 その新しい時代の幕開けと共に、43年の歴史を閉じる、ひとつのプラネタリウム。
 それは何かの象徴のようでもありました。
 大好きな大好きな、都会の真ん中の星空。
 あの街がすべて無機質なもので埋め尽くされても、わたしたちはあの場所を忘れないでしょう。
 投影の間中、わたしはずっと泣いてました。
 悲しいから、淋しいから。
 確かにそうなんですけれど…でもそれだけじゃなかったです。
 ずっと大事にしていきたい、そんなものを得たから。
 それが嬉しくて…心に痛かったから、なのかもしれません。

 ありがとう、五島プラネタリウム。
 わたしの大好きな、場所でした。



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