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ぼーさん | …これって…つまりは…そういうことかい? |
安原(実況) | そういうことなんじゃないですか? なんだか壮絶なことになって参りました。 |
ぼーさん | それで済みゃいいけどな。 |
綾子 | だからあんたたちはどーしてそうやってギャグに落とすのよ!! |
ぼーさん | いや、だってなあ。これは…。 |
綾子 | …対処しようがないのはわかるわよ…。 |
真砂子 | また木にお願いすることはできませんの? |
綾子 | …このあたりに生きてる木はいないわ。いるんだったらあたしだって最初からそうしてるわよ。 |
真砂子 | そうですわよね。ええ、最初から期待はしてませんわ。 |
綾子 | ちょっと、真砂子!!! |
ジョン | あああああの、おふたりとも…。落ち着いて…。 |
ぼーさん | …だな。現実逃避してる暇はない、か。 |
リン | しかし、潜在能力のある谷山さんに彼女が取り憑いて、ナルにジーンが憑いているとなると…。これは難しいかもしれません。 |
綾子 | そんなこと言ったって、どうにかしなきゃいけないでしょ? |
安原(実況) | はい、なんだか内輪もめ状態になってきましたので、戦況の方にカメラを回してみたいと思います! …って、原さんに向かっていた谷山さんですが!! その谷山さんの前に、渋谷さんが立ちはだかっています!! |
ぼーさん | …なんか取り憑かれてる方の名前で言うと妙な感じだな。 |
真砂子 | ナル…!(心中複雑らしい) |
ナル(ジーン) | …麻衣……。 |
安原(実況) | 渋谷さんが、切なそうな瞳で谷山さんを見つめています! |
ぼーさん | だから少年、その言い方は…ちょっと…。 |
S子が取り憑いてしまったらしい麻衣に悲しげな瞳を向けるナル(っていうかジーン)!! いったいふたりはどうなるのか!! 運命の闘いが今、静かにその幕を上げようとしていた!! ふたりの運命やいかに!! 次回をお楽しみにネ♪ (さらに逃げる) |
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安原(実況) | 対して谷山さんは恨みつらみをこめた視線です。渋谷さんを呪い殺そうとでもしているのでしょうか……。 |
ぼーさん | 無理だろ。 |
安原(実況) | そうですねぇ……でも、S子の力が加わるとどうなるんでしょうか? |
真砂子 | ……やっぱり嫌ですわ、あたくし。こんなの耐えられるはずありません!! |
ジョン | そういえば、救急隊員の方はどうなりはりました?(のほほん) |
安原(実況) | 別の隊員の方が運んでいってます。(のほほん) 原さん! 原さんが渋谷さんにしがみつきました!! |
真砂子 | やめてください! もうやめて! ナル、いいえ、ジーン!! 早くナルを返してください。S子さんも、麻衣を返して!! |
安原(実況) | 原さん、必死の説得です。 ……と、おや? 渋谷さんの姿がダブって見えます。これはどういう事でしょうか……? |
真砂子 | お願い、二人とも!! ナルと麻衣を返して!! |
安原(実況) | こんな状況でなければ……そうですね、ドラマのワンシーンにも見えます。三角関係のもつれで最悪の状況にって。滝川さん、そんな気がしません? |
ぼーさん | ナル坊も罪な奴よの……。 |
ジョン | のんきにギャグなんか言っとる場合どすかっ!! |
綾子 | 真砂子!! 戻ってきなさい!! |
安原(実況) | これは一体……渋谷さんからはドッペルゲンガーが、谷山さんからもゆらゆらとした影が!! |
綾子 | 麻衣!! ナル!!! |
麻衣からは影が、そしてナルからは……彼が!? 果たして、ナルと麻衣は霊から逃れられるのか? 真砂子の祈り(嫉妬に近い)は届くのか!? 次回も急展開!! (書き逃げ) |
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麻衣 | ……だめ……だめだよ…っ。 |
真砂子 | 麻衣!? |
麻衣 | もう…誰もいないでしょ? あなたが恨んでる人なんて……ここには誰もいないじゃない。 |
安原(実況) | 谷山さん……。どうやら、谷山さんは、自分の体に取り憑いているS子に向かって説得を開始したようです。 |
綾子 | って。S子を引き止めてるわけ? そんなことできるの? |
ぼーさん | 嬢ちゃんは無茶なことやってのけるからな。 |
ナル | ……原さん。もう大丈夫です。 |
真砂子 | ! ナル!? 大丈夫なんですの!? |
安原(実況) | あ、渋谷さんも原さんの手を外しました。足取りもしっかりと、谷山さんのもとへ歩み寄っていきます。 |
リン | そうでしょうね…もともとナルとジーンは不思議な同調を示していましたから。そのふたりがひとつの体にあるんです。負担以上に、能力の上昇が見られます。…それ自体、信じられない現象ですが。 |
ジョン | まさに奇跡という現象ですね。 |
ぼーさん | ナル坊とジーンで奇跡ね……。確かにナル坊は奇跡的に性格に難があるが。 |
綾子 | いいところなんだからつっこまない! |
安原(実況) | そして奇跡の兄弟に、谷山さんの力がどう影響してくるか。戦況はそこに絞られてきたと見て間違いないでしょう……。 |
真砂子(心の声) | ……わたくしには…何もできないんですの…? |
麻衣 | だめ……そんなんじゃ。そんなんじゃ何も始まらない…変わらないよ……! |
ナル・ジーン | ……麻衣。 |
麻衣 | ああ…ナル……ジーン? |
ナル・ジーン | そのまま……。 |
麻衣 | うん……。 |
ナル | やってみろ、麻衣。 |
麻衣 | ん……。 |
ジーン | 大丈夫、麻衣にならできる……。 |
麻衣 | うん…頑張る、よ……!(にこり) |
すべては麻衣に託された!! ナルとジーンは麻衣を救えるか? 真砂子の複雑な心境は一体どこへ向かうのか!? そして麻衣の微笑みはふたりのうちどちらに向けられたものなのか!? 事件は核心へ!!(さらに逃げ) |
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安原(実況) | …光です…まるで蛍のような…淡い光が谷山さんと渋谷さんを包み込んでゆきます! |
ぼーさん | この光は浄霊の光なのか……綺麗だな。 |
綾子 | 映画か何かじゃないんだから。見てばっかりじゃなくってしっかり仕事しなさいよね、このバカ坊主。 |
ぼーさん | まあ、綾子よかやる事やっとる気がするな、俺。 |
真砂子 | ……。 |
麻衣 | もう、大丈夫……見えたでしょ、暖かい光が。そっちに行けば、辛かったことも全部忘れて楽になれるんだよ…。 |
ジーン | ほら、もう少し。進むべき道が見えたら、顔を上げて歩けばいいんだから。 |
安原(実況) | 渋谷さんと谷山さん、それに原さんは光の中に消えてしまいました…こちらからは姿の確認が出来ません…!! |
ぼーさん | ちぃっ! ジョン!! |
ジョン | ハイです! |
安原(実況) | 滝川さんは独鈷しょ、ブラウンさんは聖水とロザリオを取り出しました。どうやら、滝川さんもブラウンさんも、もしもの為に備えていたようです。 |
ぼーさん | もしものときはいつ来るかわからんし。 |
安原(実況) | 備えあれば憂いなしですよね。僕、滝川さんに惚れなおしちゃいそうですよ(はあと) |
綾子 | 何漫才やってんのよっ!(ハリセン突っ込み) |
リン | 滝川さん、ブラウンさん、光が少し切れました! |
ぼーさん | よっしゃあ、ジョン、行くぞ!! |
ジョン | ちょっと待ってください。様子が……! |
光に包まれた二人(三人)はどうなるのか!! 麻衣は浄霊に成功したのか、そしてナルとジーンは!? 蛍のような光の向こうにジョンが見たものとは? さあ、いよいよクライマックスへ!! |
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綾子 | 光がおさまってくわ。…何か、見えそうなんだけど…。 |
安原(実況) | そうですね…。人影がうっすらと見えますね。谷山さん! 大丈夫ですか!? |
ジョン | …聞こえてないんとちゃいますか。 |
綾子 | ……そーね。この光、音を遮断してるのかしら? |
ぼーさん | それって物理的にどういう現象なんだろうな。 |
綾子 | あのねぇ…だから、物理的に説明できない現象なんだから!! |
安原(実況) | おふたりとも仲がいいですねー。 |
綾子 | なんですって!? こんな破戒僧と!? |
ぼーさん | 俺もちょいとなー。ご遠慮しておきたいかなー。 |
安原(実況) | またまたー♪ |
ジョン | あの…皆さん? |
リン | !! 光が消えます。邪悪な気配は感じませんね。 |
安原(実況) | あ! 原さん!? 原さんが歩いてきました! 渋谷さんと谷山さんは…!? |
真砂子 | もう…大丈夫ですわ。S子の気配は消えました。 |
綾子 | じゃ、事件は解決なのね! |
真砂子 | S子の存在自体がどうなったかはわかりませんわ。でも気配は完全に消えました。麻衣の、……説得がきいたとは思いませんけれど。 |
安原(実況) | その谷山さんは…。 あっ、谷山さんと渋谷さんが見つめ合っています。いえ、あれはジーンさん? |
麻衣 | ジーン…ナル……。 |
ジーン | うん。よくやったね、麻衣。麻衣なら出来ると思ってた…。 |
麻衣 | ううん、あたしだけじゃできなかった。ジーンがいてくれたからできたんだよ。 |
ジーン | 僕だけじゃ彼女を退けることはできなかったよ。 |
ナル | …何をそんなところで立ち話してるんだ。 |
ジーン | ナル。 |
ナル | (溜め息)…のんきな奴らだな。麻衣。 |
麻衣 | なに? |
ナル | ……お疲れ。 |
麻衣 | ……ナル。ふたりとも…ありがとう…。 |
安原(実況) | た、谷山さん! 谷山さんが倒れました! |
ジョン | 麻衣さん!! |
ナル | 無茶をするからだ……(溜め息)。 |
安原(実況) | なんと渋谷さんが紳士的に! 谷山さんを抱きとめました! |
真砂子 | …………。 |
ジーン | 優しいじゃないか、ナル…。 |
ナル | …うろうろ出てきて、バカが。さっさと向こうに行くんだな。 |
ジーン | ……うん……。 |
安原(実況) | これで解決……なんですね。 |
麻衣 | ……。(幸せそうに少しだけ微笑む) |
綾子 | ほら、麻衣。こんな所で寝てたらかぜひくわよ! |
ジョン | 渋谷さんも麻衣さんも、ご無事でよかったどすね。 |
リン | (黙々と機材を片付けている)……。 |
ぼーさん | リンさんや……お前さん、撮ってたのか? |
リン | ええ、仕事ですから。 |
数時間後… | |
ぼーさん | おっしゃぁ、事件も無事に解決したことだし、打ち上げでも行くかあ? |
ナル | ぼーさん達でやっててくれ。リン、帰るぞ。 |
安原(実況) | ……おっと、渋谷さんの先制攻撃です。(小声) |
綾子 | なんでよ? いいじゃない、たまには全員でパアッとやりましょうよ。 |
麻衣 | えー? ナルは行かないの? ナルだって、たまに遊んだっていいじゃん。 ねぇ、リンさん? |
ナル | とにかく、僕はいかな……。(ガクン、と倒れこむ) |
全員 | ナルっ!!?? |
・・・・・ | |
麻衣(復活) | (真砂子、今回のビデオ、ちょっと欲しかったりしない?) |
真砂子 | (あら、どうしてですの?) |
麻衣 | (ほら、ジーンがでてきた=ナルがたくさん笑ってる、という方程式があることだし……) |
真砂子 | (あたくしは全然……それにしても、麻衣ったら……) |
麻衣 | (何?) |
真砂子 | (そこまで欲張りだとは知りませんでしたわ。ナルにあんなに優し……) |
麻衣 | (な、何だってぇっ?) |
真砂子 | (何でもありませんわ。はしたない、と申し上げましたのよ。) |
End
<After Words> |
桂月玲様と風音のメールのやりとりから、こんなお話ができましたv 最初は普通に語り合っていたのですよね。 それが、気がついたらいつの間にかこのようなリレーシナリオノベルに!! やっぱり楽しいですね、リレー♪ お話がどこへ行ってしまうかわからないのですものね。 しかし、まさかここまで長くなるとは思っていませんでした。 あのナルとS子を戦わせようっていうんですから、そりゃ長くもなろうと言うものですが…。 果たしてS子は浄霊できたんでしょうかねぇ。 もしかするとまだあの井戸の中に……!? うわー。呪いのビデオには気をつけねば(笑)。 …にしても玲様は上手いなぁ。それに比べてこいつはさ。もっと精進が必要ですわ。うむ。 桂月玲様v 転載許可ありがとうございますv またやりましょうねv |